次の瞬間、別の声が続いた。
「見つけ次第、両方拘束しろ」
「抵抗した場合は——」
そこで言葉が途切れる。
静寂。
そして、足音が一歩、洞窟の中へ踏み入れられた。
砂利を踏む音。
それが、やけに大きく響く。
―――やがて、足音が遠ざかっていった。
どうやら、ここにはいないと判断したらしい。
洞窟の外で、砂利を踏む音が少しずつ小さくなっていき、
やがて松明の光も消えた。
完全に静寂が戻るまで、二人とも動かなかった。
そして——
「……行った、よね」
雫がようやく息を吐いた。
張り詰めていた糸が切れたみたいに、肩の力が抜ける。
へなへなとその場に座り込み、胸に手を当てた。
心臓がまだ速い。
けれど、生きている音だった。
「よかった……」
小さく笑いかけた、その時だった。



