「...........」
ルカは顔を上げない。
その瞬間だった。
雫は、何も言わずにルカの腕を引いた。
ぐ、と軽い力で引き寄せる。
「……っ」
ルカの身体が一瞬揺れる。
次の瞬間――
雫はそのまま、ルカを抱きしめた。
強く、でも乱暴じゃない。
逃がさないためじゃなく、“ここにいていい”と伝えるみたいな
抱きしめ方だった。
「……え」
ルカの声が止まる。
雫は、少しだけ笑う。
それは軽い笑いじゃない。
あたたかい、当たり前みたいな笑みだった。
「痛くなんてなかったよ」
即答だった。
ルカの肩が、微かに震える。



