「人間のそばにいるだけで……こうなるんだ。
雫のせいじゃねぇ、絶対。」
「じゃあ……どうすれば楽になる?」
雫の声は震えていた。
ルカは答えない。
答えられない。
沈黙が落ちた。
洞窟の奥で、滴る水の音だけがやけに大きく響く。
雫は視線を落とし、自分の手を見つめた。
(血……)
その単語が、喉の奥で重く引っかかる。
雫は迷わなかった。
それは“思いつき”というより、もっと単純な結論だった。
目の前で弱っている。
それを回復させる手段がある。
なら、それをしなきゃ。
ただそれだけ。
震えも、躊躇もほとんどないまま、雫は腕をまくった。
白い肌が露わになる。
そして、そのままルカの口元へ差し出した。



