「え……?」
「……このままだと……お前を、噛むかもしれない。」
ルカは言いながら、自分の腕で額を押さえる。
苦しそうに、歯を食いしばっている。
「それは……絶対ダメだ」
言葉とは裏腹に雫の手が握り返される。
それなのに、拒絶の意思だけははっきりしていた。
(……血、足りてないんだ)
逃げることに必死で。
治療に必死で。
“生き延びること”ばかりに意識が向いていて。
その根本を、見落としていた。
雫は唇を噛む。
「……ごめん、気づかなくて」
さっとルカが眉間にシワを寄せた。
「……やめろ。違う」
ルカは短く否定する。
呼吸が乱れているのに、声だけは妙に鋭い。
「お前が悪いとかじゃねぇ」
一度、言葉を切る。
喉の奥で何かを飲み込むみたいに。
「……そういうつくりしてる、俺の身体が悪い。」
その一言に、雫は息を止める。
その様子を見て、ルカはゆっくりと目を閉じた。



