ルカはフッと笑って小さく肩をすくめる。
「無茶苦茶だな」
その言葉には、もう拒絶はなかった。
森の、行ったことがないくらい、奥の奥に進んでいくと、
やがて大きめの洞窟のようなものが見えてきた。
洞窟の入口は、森の奥でぽっかりと口を開けている。
二人は中へと足を踏み入れ、
しばらく進んだところでようやく腰を下ろした。
岩肌に背を預けたルカは、ゆっくりと息を吐く。
「……はぁ」
その吐息は、今まで張り詰めていたものが全部抜け落ちたみたいに、
どこか幼くすら聞こえた。
雫は隣に膝をつき、そっとルカの顔を覗き込む。
さっきまでの鋭さも、警戒も、痛みに耐える険しさも、
もうそこにはない。
代わりにあったのは――
少し力の抜けた、頼りないくらい静かな表情だった。
「……ルカ?」
雫が小さく呼ぶと、ルカはゆっくり視線を上げた。



