「もう、家には戻れないだろうな」 「……え?」 雫の声が小さく漏れる。 ルカは淡々と続ける。 「俺が脱走したのがバレた時点で、あの家は調べられる」 一拍。 「真っ先に潰される可能性が高い」 雫の顔がこわばる。 「そんな……」 ルカはそこでようやく雫を見る。 「だから戻れねぇ」 短く、断言だった。 雫は唇を噛む。 さっきまで“帰る場所”だったはずの家が、 もう戻れないものになっている。 現実が一気に重くなった。