掴もうとしていた手が、ゆっくりと下がる。
雫はそのまま、最後の傷に手をかざした。
光が静かに収束していく。
ルカの呼吸が、ほんの少しだけ落ち着いた。
それでもまだ――完全じゃない。
ただ、動ける程度には戻っている。
雫は手を下ろし、小さく息を吐いた。
「……まだ痛い?」
ルカはすぐには答えない。
しばらくして、かすれた声が落ちる。
「痛くは……ねぇけど.....」
それは、弱い戸惑いだった。
雫は少しだけ笑った。
「良かった」
ルカの視線が、わずかに揺れる。
雫は立ち上がる。
そして、自然な動きでルカの腕を支えた。



