「……なんで」 ルカがぽつりと漏らす。 「なんで、そこまでする」 雫は答えず、ただ手を動かし続ける。 光がまた一つの傷を覆う。 「こんな怪我じゃ、逃げられないから」 ようやく、静かに言った。 ルカの呼吸が止まる。 雫は続ける。 「また、捕まることになる」 少しだけ視線を上げる。 真っ直ぐ、ルカを見る。 「それは嫌」 一拍。 「だから治すの」 風が、路地を抜けていく。 その音だけがやけに大きい。 ルカは何も言えなかった。