終わりから始まる恋を、君と

最初に感じたのは、匂いだった。

土と、木と、少しだけ薬草の匂い。

埃っぽくもないし、嫌な感じもしない。

……ここ、どこだろう。

雫は、ゆっくりと目を開けた。

天井が見える。

低くて、木でできた天井。

自分の部屋じゃない。

そうだ、私はあの家から逃げ出して―――

全てを思い出し、心臓が強く跳ねた。

反射的に体を起こそうとしたが、上手く力が入らない。

その拍子に、腕に走った痛みに、思わず顔を歪める。

「……っ」

その音を聞いたのか、足音がした。

床板が、静かに鳴る。

「……起きたか」

低く、落ち着いた声。

雫は、息を止めた。