雫はその間に、そっと彼の腕に触れた。 「だから、治す」 「……っ、雫……」 「お願い。動かないで」 その言葉は、命令じゃなかった。 祈りに近かった。 ルカは一瞬だけ目を閉じる。 苦しそうに、歯を食いしばる。 それでも――抵抗する力は、もうほとんど残っていなかった。 雫は静かに治癒を始めた。 光が、傷に触れていく。 焼けただれた皮膚が少しずつ塞がり、 裂けた痕が薄れていく。 ルカの身体が、わずかに強張る。 痛みではない。 “何かを受け取ること”そのものに、慣れていない反応だった。