「使うよ」 静かな声。 「このままじゃ、ルカ逃げられないでしょ」 ルカの瞳が揺れる。 「逃げる必要なんて――」 「ある」 きっぱりと遮る。 雫の声は、思っていたよりも強かった。 「ルカは私と一緒に逃げるの。」 一瞬の沈黙。 雫は言葉を続ける。 「今のルカじゃ、歩くだけでも限界だよ」 ルカの唇が、わずかに震える。 否定しようとして――できない。 現実だった。