人気はない。
光もほとんど差し込まない。
雫はそこでようやく足を止める。
「……ここで、少し休もう」
そう言って、ゆっくりとルカを座らせる。
自分もその隣にしゃがみ込んだ。
荒い呼吸。
汗と血の匂い。
静かなのに、やけに遠くで世界が鳴っているような感覚。
雫は膝を抱えるようにして座り、
ルカの様子をじっと見た。
まだ、終わっていない。
ただ――
今は、少しだけ呼吸できる場所にいる。
それだけだった。
雫は路地裏に膝をついたまま、ルカの顔を見上げた。
呼吸はまだ荒く、視線もどこか定まらない。
それでも――彼は必死に、雫から離れようとしていた。



