「もう、どうでもいいと思っただけだ」
その言葉には、疲れが滲んでいた。
兵士は雫の方を見た。
まっすぐではない。
どこか投げやりで、突き放す視線。
「ここを出たあとのことは知らん」
低く、はっきりと言う。
「助けてもやれないし、助けるつもりもない」
一瞬だけ、視線がルカに向く。
「せいぜい頑張れ」
それだけ言って、兵士は踵を返した。
鎧が擦れる音。
遠ざかっていく足音。
雫は、何も言えなかった。
ただ、開かれた鉄格子の前に立ち尽くす。
ルカもまた、動かない。
静寂。
地下の空気だけが、重く流れていた。



