「……」 けれど。 雫は、一瞬も視線を逸らさなかった。 ルカの言葉に、揺れることもなく。 ただ、まっすぐに彼を見つめたまま―― ゆっくりと、首を横に振る。 「やだよ」 小さな声。 でも、それは驚くほどはっきりしていた。 「帰らない」 その一言で、すべてを拒絶する。 ルカの息が詰まる。 「……っ、なんで……っ」 絞り出すような声。 その問いに、雫は答えなかった。 代わりに―― くるりと向きを変える。 目の前に立つ、兵士へと。 そして―― 深く、深く頭を下げた。