雫は咄嗟に足を止める。 心臓が、喉元までせり上がる。 (どうする……どうするの……) 頭が真っ白になる。 逃げる? 隠れる? 戻る? ――違う。 ここまで来て、引き返す選択なんてない。 雫はぎゅっと拳を握りしめた。 その視線の先―― 兵士の向こう側。 鉄格子の奥に、影がある。 ぐったりと、壁にもたれかかるように座り込んでいる人影。 その姿を見た瞬間、時間が止まった。 「……っ」 息が、止まる。