しばらく町を散策していると、いくつかの声が耳に入った。
八百屋の店主と買い物客の会話。
広場でたむろする主婦たちの雑談。
その雑談の中で、不意に「銀髪の吸血鬼」という単語が
耳に飛び込んできた。
声の主は、すぐそばにいる主婦たちだった。
雫の胸が一気に高鳴った。
思わず足が前に出る。
勢いそのままに、駆け寄ると、声を震わせながら問い詰めた。
「その吸血鬼って、今どこに――!」
あまりの剣幕に、主婦たちは一瞬ぽかんと呆けた。
しかし、互いに目を合わせ、しばらく躊躇したあと、
タジタジとした様子で答えた。
「きっ、昨日の夜に自衛団が捕獲して……
今は地下牢に拘束されているらしいけど……」
雫はさらに身を乗り出して食い下がる。



