(……ルカ……)
雫は俯きながら、必死に町を歩き回った。
生まれてから今まで、町の奥に来たことなんて一度もなかった。
どこに何があるのかも、誰に聞けばいいのかも分からない。
闇雲に、ただ足を動かす。
けれど――
見つかるのは、商店や八百屋、市場の露店ばかり。
野菜を並べる人間。
値段を交渉する声。
どこにも、ルカの姿はない。
「……どこ……?」
掠れた声が、雑踏に消える。
胸の奥に、焦りが広がっていく。
時間が、無情に過ぎていく感覚。
(……お願い……)
雫は唇を噛みしめ、再び歩き出した。
簡単に諦めるわけにはいかなかった。



