震える肩を、ぎゅっと引き締める。
「……大丈夫……」
自分に言い聞かせるように呟いて、そのまま走った。
森を抜けて、町へ。
視界が一気に開ける。
石畳の道。
建物が立ち並び、朝の光に照らされる広場。
人、人、人。
町の広場らしき場所に出た瞬間、雫は足を止めかけた。
沢山の人々が行き交い、話し、笑い、荷を運ぶ。
日常が、何事もなかったかのように流れている。
その中で――
雫だけが、ひどく浮いていた。
すれ違う人、すれ違う人が、雫を怪訝そうに見る。
汚れた服。
傷だらけの身体。
息を切らし、涙の跡が残る顔。
ひそひそと、囁く声。
視線が、突き刺さる。



