(……ない……)
胸の奥で、何かがわずかに灯る。
――ということは。
きっと、まだ生きている。
大丈夫。
大丈夫だ。
自分に、何度も言い聞かせる。
そうじゃないと、立っていられなかった。
町へ行けば、きっと会える。
捕まっているとしても、まだ、間に合う。
雫は、記憶を手繰り寄せる。
あの時、ルカと歩いた道。
森を抜けた先にあった、町の方向。
うろ覚えのままでも、構わなかった。
「……待ってて……」
小さく呟いて、雫は歩き出す。
震える足で。
それでも、前へ。
朝の光の中へ。
雫は、ひたすらに走り続けた。



