堕天使と悪魔は偽りの姫を欲しがる


月に会いたい。


夕星さんのとこに行くなんて、やだ。




「ねぇ、月はどこにいるの?」


「そんなの俺だって知らねぇよ」


「…わかった、自分で探す。あなたのところへはいかない」




私の覚悟を見定めるように、じっと私の目を見る。


飛輪さんに逆らってでも、月を選ぶ覚悟があるのかって。


それに負けないくらい、私の月のそばにいたいった気持ちは強いけど。




「ルナの考えはわかった。が、急になんの策もなく行っても意味ないだろ」


「…わかってるよ」




バツが悪くて、私は目を逸らす。


ただ突っ走ってもダメだってことくらいわかっているはずなのに、頭は空回りする。




「とりあえず今日は俺のとこ来い。まあ一応それなりの対応はする」


「……変なことしないって約束してくれるなら」


「自分に心がない女に、んなことするわけないだろ!」


「ふ〜ん」




正直に言うと夕星さんのところに行くのは、ない。


【Anemone】のところに【Fluel】の姫が行くなんて言語両断。


ただ、私は戻れないから───


利用できるものは利用する。自分のことは自分でなんとかして、自分で守る。


月たちの助けもあったりはしたけど、そうやって生きてきたし、これからもそうやって生きていく。




「まあ、よろしく」


「……よろしく」