堕天使と悪魔は偽りの姫を欲しがる


「……急になんなんですか」


「……その質問にお答えすることはできません。私たちはもてなせ、と言われているだけなので」




もてなせ、ね……。それってどう考えても見張りって意味でしょ。


現に会話もなければ、申し訳程度にコーヒーが置いてあるだけ。


そもそも初対面の黒スーツ2人と和んだ雰囲気になるわけないんだけど。




「月は、どこですか」


「飛輪さんと話しておられます」




月……。


きっと頼れる人が、支えてくれる人が1人もいないその部屋であなたはどんなことを思ってるの。


お願い。自分を否定する、なんてことにだけはなっていないで。




「ルナ、だったか」


「…飛輪さん」




しばらくしてから、私の元はやってきたのは飛輪さんひとり。


遠目で見たことあるだけの飛輪さんは、実際に会うと圧を感じた。


上に立つものの圧を。




「あいつは、どうだ」


「どうって、なんですか」


「私が決めた自分の役目をきちんと果たしているか、だ」




どこまでも冷たい目をしている人だ、この人は。


人をモノとしか思っていない目。




「月の役目は、あなたが決めることじゃないんじゃないですか」


「子は親に従う。当然だろう?」