「……月」
「…彩雫?」
「レオくんに聞いたの。それで、ここにいると思った」
「ははっ。バレバレか」
街の外れの高台。夜には星と明るい建物の群れが同時に見えるこの場所が、月の大切な場所ってことを、私は知っていた。
耳を塞ぎたくなるような男たちの騒ぎ声も、女たちの甘ったるい声も、夜でもここでは聞こえない。
街の方を眺めながら、私に背を向けたままの月は言う。
「レオは?ついてきたがったろ、あいつ」
「ひとりで行かせてって頼んだの。……ここは月の大切な場所だから」
「…負けたわ、彩雫には。いつもそう、俺は───」
「うん?」
俯いた月の顔が、どんな表情を浮かべているのか気になったけど、月はそれを望まないよね。
それに"負けた"?月が私に?
「いや、やっぱなんでもない。気にしなくていーよ」
「月……。話してよ、私に。頼りにはならないかもしれないけどさ、聞くくらいならできるから」
「…わかったよ。とりあえず帰ろ」
振り向いた月は、淡く笑っていた。
その目が映しているものは、なに───?



