堕天使と悪魔は偽りの姫を欲しがる


カーテンの隙間から差し込む、太陽の光で目が覚めた。


昨日はあのまま寝落ちしたらしい。


夜はどこかから聞こえる喧騒も、今は聞こえない。


それがすごく不気味だと、いつも思っていた。




「ルナさん、起きてます?」


「…レオくん、なんでいるの」


「話があるので、リビングで待ってます」




足音が遠ざかっていくのを聞きながら、おもむろに動き始める。


レオくんの話ってなんだろう、しかも朝から。


心なしか焦燥を含んだレオくんの声が、私の心をざわつかせる。


向かったリビングで、レオくんの向かいに腰掛ける。




「あ、ルナさん。朝からすみません、少し急ぎっていうか……緊急事態で」


「緊急事態……?」


「…【Anemone】主催のパーティーに出席しろと、飛廉さんから言伝を預かりました」




【Anemone】───。なんで今なの、今までこんなことなかったでしょ。


固まった私を知ってか知らずか、レオくんもその声に焦りを滲ませる。




「俺らも驚いてるんですよ。飛輪さんが急に言い出して……」


「…月は行くの?」


「この話を聞いた後、着替えてどこかに出て行きました」




これを聞いたときにあなたはどう思ったの、月。


レオくんはきっと、月がどこかに行ってしまうのを止めたはずだ。


その静止を振り切って月が出かけたのだから、月が向かったのは───




「レオくん。月の行った場所に心当たりがあるの」


「どこですか!」


「教えられない。……ひとりで行かせて?」


「っ……」