堕天使と悪魔は偽りの姫を欲しがる


ネオンが輝く通りを抜けて、薄暗い裏通りは入る。


ラブホテルの怪しい光も見えるその通りに、本当に月はいるの?




「おねーさん。こんなとこでひとりなんて珍しいね?」


「…急いでるので」


「そんなこと言わずに相手してってよ〜」




明らかに酔っ払っている若い男に声をかけられる。


当然、相手なんかするわけない。


ただ、女の私じゃ簡単に立ち去れるわけもなかった。




「無視しないでよ。帰るとこないなら、俺が奢ってあげるよ?……ホテルでもなんでも」


「嫌です」


「釣れないなぁ。ま、無理やり一緒に来てもらえばいいだけなんだけど」


「っ…」




想像通りだけど、身体目的じゃんこんなの。


無理やりされたらたまったもんじゃない。ほんと今日、運悪い。




「あっちに行きつけのとのあるから」


「いや、離して」


「冷たくした君が悪いんだよ。逃げられるわけもないのに」




腕を掴まれて、引きずられるように進んでいく。


誰も助けてくれない。ここじゃ当たり前か。


そもそも女が少ない街で、こんな秩序もなにもないところに来たら、こうなるのは予想できたはずなのに───