堕天使と悪魔は偽りの姫を欲しがる


やっぱり本名は教えられない。


本名ではないけど、"ルナ"って名前を私は気に入ってる。


───月がくれた名前だから。




「飛廉、どこ行った!?」


「あ〜あ、タイムオーバー。じゃあな、ルナ。さっさとここ離れたほうがいい」


「……さよなら」


「あっ、そうだ。椎堂はたぶん、あっちの裏通りにいるから」




手を振って、おそらく仲間の声のほうにいなくなっていった夕星 飛廉を警戒しながらも、私は裏通りに向かう。


あいつが嘘をついているかもしれない。


でも、今の私にある情報はそれだけだから縋るしかない。


裏通りは、月が私に"行くな"と言っている場所だけど。