片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

「アリスティーネ様、コンラッド様がお見えになりました」
「いつも通り、客間に案内してあげて」
「かしこまりました」

 定期的な婚約者との面会は、互いの義務らしい。
 コンラッドは父が自分の跡継ぎとして育てている、子爵家の次男だ。

 父に言わせれば、領地経営などの才能がとてもあるらしいが、私は自分の婚約者であるコンラッドが誰よりも苦手だった。

 だから本来ならば自室で会うべきなのは分かっていても、やや距離のある客間でしか会うことを許していなかった。

「はぁ。なんだか気が重いわね」

 ルドウィックに対する自分の気持ちに気付いたその瞬間から、ただでさえ苦手なこの時間はより苦痛に思えるようになってしまった。

 それでも断るわけにはいかない。
 私は重い胃を抑えながら、ゆっくり客間に向かった。