片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

「ああ、自分が子を成すのを恐れているのなら、あいつから子どもだけ取り上げてもいい。そうだな。少なくとも、あいつとの子なら可愛いだろうからな」
「!」

 開いた口がふさがらない。
 もう婚約は破棄されたというのに。

 まったく公爵家の血が入っていない子を、自分の子としてこの家にまで入れようとするだなんて。

「あなたとはこれ以上何も話すことはありません。どうぞお引き取りを」
「どうしてだ! おれは全部君のためを思って言ってやっているんだぞ」

「私のためを思っていただかなくとも、結構です。もう婚約者でもありませんし、勘当されたあなたはもう貴族ですらないのですよね?」
「だったらなんだというんだ」

 激昂し出すコンラッドの目は赤く充血している。
 額には青筋が浮かび、いつ暴れ出してもおかしくはない状況だった。

 私はゆっくりと視線を逸らさず後ずさりするも、手首を掴まれてしまった。

 強く掴まれた手首が痛い。
 振りほどこうにも、コンラッドの力は思っていたよりも強かった。