片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

 社交界では私の婚約破棄の話が持ちきりになるかと思っていたが、王女殿下がコンラッドたちのことを醜悪だと切り捨てたため、これ以上の話が持ち上がることはなかった。

「だけど問題は……次がいないことよね」

 そう。今の私には婚約者はいない。
 だけどこの先も、きっと難しいだろう。

 こちらに非はなくとも、醜聞であることには変わりない。

 もしかするとこの国の貴族との結婚は望めないかもしれないわね。

 母はただ泣いていたし、父は次はどんな男がいいかとだけ尋ねてくれた。

「次、ね」

 考えたくなどなかったけれど、そういうわけにもいかない。

 父が隣国からでも誰か連れてくるかもしれないと思いつつも、私は相手に願うことを一つだけ聞いてもらった。

 誠実な人がいいと。
 その向こう側に、ルドウィックの顔が浮かんだことは一生誰にも言えないわね。