片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

 口約束での婚約破棄が決定したあの日から、恐ろしい勢いで話は進んでいった。

 すぐその日のうちに、事の顛末を知った父がコンラッドの家に抗議に行ったのだ。

 彼はどこまでも小さくなりながら、父に土下座をしたらしい。

 その日一緒に行った家令が、後から私にいろいろと教えてくれた。

 自分の後継者として育ててきた人間の裏切り。
 父はその行為に対し、容赦がなかった。

 元々相手方に支援してきた金額の請求から、婚約破棄の慰謝料、そして二度と子爵家とうちとの関わりを持たないという念書まで。

 公爵家との関係がこじれたと知れ渡った彼らの家門は、この国ではもう没落まっしぐらだろう。

 みんながうちを怒らせたくない一心から、誰も庇う者は現れなかったそうだ。

 うちとの関係を何としても取り戻したい子爵家は、コンラッドを勘当したらしい。
 平民となったコンラッドたちがどうなったか知る由もないけれど、愛があればいいんじゃないかなと勝手に思っている。