片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

 コンラッドはうちの跡取りとなるべく、父から領地経営やいろんなことを学んできた。

 いわば先行投資として、彼にはたくさんのお金を父がかけてきたのだ。

 それがこんな形で婚約が破棄になったらどうだろう。

 事業で言えば、契約不履行とでもいうべきか。

 つまりはコンラッドたちは、それほどのことをしたということだ。

「契約って、そんな難しいことわたしには分からないですし」
「でしょうね」

「馬鹿になさるんですか⁉」
「馬鹿にではなく、呆れているのよ」

 コンラッドにもこの子にもね。
 自分たちが仕出かしたことの重大性が分からないだなんて。

 愛があればなんでも許されると思っているのかしら。

「婚約は家と家との結びつき。破棄すれば、うちがコンラッドの家にしている支援だけではなく、今までコンラッドにかけてきたお金も回収することになるのだけど?」
「そんな卑劣な言葉で脅すのですか‼」

 どこをどうしたら、卑劣だなんて言葉が出て来るのかしら。