片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

 頭が痛いというのを越えるわね。
 あれだけ彼にはクギを刺してきたというのに。

 他の女に手を出すだけでは飽き足らず、子まで成していただなんて。

 呆れてため息も出ないわ。

「コンラッドはわたしを心から愛しているんです。これは真実の愛なのです! だからどうか、婚約破棄をして下さい。アリスティーネ様はコンラッドを愛してなどいないんですよね?」
「ええそうね」

「だったら!」
「あなたはこの婚約が何の契約を以てなされていたか知っているの?」

 確かに愛はいいものなのだろう。
 私にはコンラッドへの愛などないし、婚約を破棄するのは簡単だ。

 そう私だけの問題ならば。

 だけど婚約と言うものはそんな簡単なものではない。

 少なくともうちの場合はそうだ。