数歩歩き出し、再び彼は止まる。
今度は無言のまま、何かを警戒するように辺りを見渡したあと、帯刀する剣に手をかけながら私の前に立つ。
「ルドウィック様?」
彼が応えるよりも先に、中庭の右奥通路から一人の令嬢がこちらに飛び出してくる。
歳は私よりも少し若いだろうか。
亜麻色のふわふわした腰までの髪に、同色の瞳。
大きく、やや潤んだ瞳がこちらを向く。
「アリスティーネ様!」
名前を呼ばれたものの、少なくとも私には彼女との面識はない。
貴族社会において、身分が下の者は許可なくその名前を呼ぶことは許されていない。
だけど、この国に公爵家はうちだけ。
若いから常識がないのかもしれないが、それにしても、である。
こんな風にいきなり押し掛けて、しかも名前を呼ぶなんて。
この場で叱ってもいいのだけど、ここは王宮の中庭。
使用人や他の貴族たちも往来する中で激しく叱責してしまえば、彼女だけではなく私にも少なからずダメージがあるだろう。
今度は無言のまま、何かを警戒するように辺りを見渡したあと、帯刀する剣に手をかけながら私の前に立つ。
「ルドウィック様?」
彼が応えるよりも先に、中庭の右奥通路から一人の令嬢がこちらに飛び出してくる。
歳は私よりも少し若いだろうか。
亜麻色のふわふわした腰までの髪に、同色の瞳。
大きく、やや潤んだ瞳がこちらを向く。
「アリスティーネ様!」
名前を呼ばれたものの、少なくとも私には彼女との面識はない。
貴族社会において、身分が下の者は許可なくその名前を呼ぶことは許されていない。
だけど、この国に公爵家はうちだけ。
若いから常識がないのかもしれないが、それにしても、である。
こんな風にいきなり押し掛けて、しかも名前を呼ぶなんて。
この場で叱ってもいいのだけど、ここは王宮の中庭。
使用人や他の貴族たちも往来する中で激しく叱責してしまえば、彼女だけではなく私にも少なからずダメージがあるだろう。



