片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

「ねぇアリスティーネ。あなたは結婚についてどう思う?」
「どう、とは?」

 私は殿下の言葉の意図が分からず、思わず聞き返した。

 そんな簡単な質問、返す言葉など一つしかない。
 だけど、だからこそ、なぜ殿下がそんなことを尋ねたのかが理解出来なかった。

「あたしはね、少なくともこの結婚を嬉しく思っているのよ」

 そう言いながら笑う殿下は、確かに幸せそうだった。
 偽りのない笑顔。

「愛はまだ分からないけれど、少なくともあの人のことを尊敬し、大切に思っているの」
「それは……素晴らしいことですね」

 鈍い痛みが、胸を走る。
 
 殿下にあって、私にないものはなんだろう。
 私も殿下のように微笑むことが出来たなら、愛らしく生きられたら、こんな風に思えたのかしら。

 だけどコンラッドとでは、何をどうしたところでそんな関係性を想像することは出来ない。