片思いをする彼の瞳に片思いしてしまった私。そう、この恋は実らない。

 こんな態度を取られても、ため息一つつかない自分をむしろ褒めたいくらいだわ。
 
 表情が動かないことをいいことだと思ったことは一度もないけれど、ある意味今日はいいかもしれないわね。

 いつもコンラッドは私を見下していて、失礼な男ではあった。
 それは父に認められているからこそなのだろう。

 私が彼を嫌がったところで、この婚約が白紙にならないことを彼が一番理解しているのだ。

 だからといって、こんな態度は本来許されるべきではない。
 無表情な私も悪いが、それ以上に彼の方が悪いと思うのよね。

 それにしても、今日はいつにも増して、虫の居所が悪そう。
 聞く気はさらさらないけれど、何かあったのかしら。

「そういうところだぞ、可愛げがないというのは!」

 コンラッドは両手で強くテーブルを叩いた。

 その振動で、ティーカップが倒れ紅茶が零れる。