さくらいろのあお

 松岡くんは「いいよ」と鈍い声で言うと、前田くんが座っていた席に移動する。
「村家さん。対局が終わったら、ちょっと……」
 松岡くんは両手の平を合わせる。
 ごめんのポーズ。
――なんですか?
 それから松岡くんと二枚落ちで対局した。
 アマ四段の松岡くんは駒落ちも丁寧に指す。
「駒落ちは小学生の頃に沢山指して覚えたよ」

――ひとつの対局に三十分程度の時間がかかる。

 感想戦も丁寧だった。
 しばらくして松岡くんは「それで村家さん、正門広場の自販機の所でお話したい事があります」と言って立ち上がった。
――え?
 私は「いいけど、相談かな?」と言って立ち上がる。
 松岡くんはニカッと笑って「そ! 琴姫の事!」と言う。
 琴音さんに聞こえるような声だ。
 これから「貴方の事を相談します」と言われたに等しい琴音さん。