――お疲れ様です。
「松岡くん。携帯電話を落としていましたよ」
松岡くんは無言で首を下げて、受け取った。
「まだやってくの?」
私が尋ねると、松岡くんは「琴姫ともう一局指したい」と言う。
「そうだね」
――一緒にいて楽しいものね。
琴音さんは内面も優れているのだろうと思う。
柊部長は「才媛」と言うし、松岡くんは「一緒にいて楽しい」と言う。
見た目が良い人は、外見へのコンプレックスが精神の偏りを生まないのだろう。怪我や障碍で外見に自信がない人はどうすればいいのだろうかと思う。
平等なんてないと言えばそれまでの話かもしれないけれど。
中学時代のある日、トリーチャーコリンズ症候群という疾患をインターネットで知った。
「私の顔を気にしないでくれてありがとう」
私は心の中で呟くと、ぽっと胸が熱くなった。
――そんな台詞は、私は本当に大切な人にだけ言うよ。
道行く人が、不思議そうに振り返る顔。――疾患でそうなった人がいる。
私はそこまで大きな特長を持たない。
「顔のコンプレックスを回復したい気持ちが膨れ上がって、悔しいとまで思えた時に、自分より可哀想な人がいると思うと我慢できる」と打ち明けて、「そんな風に私の助けになりました。どうもありがとう」と伝えたいとは思わない。
「乗り越えるものが大きいぶん、強い人になれるでしょう」と言っても、美しいとか、美しくないとか、そういった話題を強引に逸らしているだけに思える。
ならば、まず自分に言えばいいだろう。 ――村家沙織、貴方が乗り越えるべき試練が顔に刻まれているのですよ、と。
――私は帰宅した。
帰宅後は学校の予習と、詰将棋を少し解いて、寝た。
お笑い番組は見なかった。
今年はどんな一年生が入って来るのかな。
春の嵐のような女の子が来たりして。
漫画だったら松岡くんに一途なトラブルメーカー的な後輩が出来るのに。
――なんてね。
「松岡くん。携帯電話を落としていましたよ」
松岡くんは無言で首を下げて、受け取った。
「まだやってくの?」
私が尋ねると、松岡くんは「琴姫ともう一局指したい」と言う。
「そうだね」
――一緒にいて楽しいものね。
琴音さんは内面も優れているのだろうと思う。
柊部長は「才媛」と言うし、松岡くんは「一緒にいて楽しい」と言う。
見た目が良い人は、外見へのコンプレックスが精神の偏りを生まないのだろう。怪我や障碍で外見に自信がない人はどうすればいいのだろうかと思う。
平等なんてないと言えばそれまでの話かもしれないけれど。
中学時代のある日、トリーチャーコリンズ症候群という疾患をインターネットで知った。
「私の顔を気にしないでくれてありがとう」
私は心の中で呟くと、ぽっと胸が熱くなった。
――そんな台詞は、私は本当に大切な人にだけ言うよ。
道行く人が、不思議そうに振り返る顔。――疾患でそうなった人がいる。
私はそこまで大きな特長を持たない。
「顔のコンプレックスを回復したい気持ちが膨れ上がって、悔しいとまで思えた時に、自分より可哀想な人がいると思うと我慢できる」と打ち明けて、「そんな風に私の助けになりました。どうもありがとう」と伝えたいとは思わない。
「乗り越えるものが大きいぶん、強い人になれるでしょう」と言っても、美しいとか、美しくないとか、そういった話題を強引に逸らしているだけに思える。
ならば、まず自分に言えばいいだろう。 ――村家沙織、貴方が乗り越えるべき試練が顔に刻まれているのですよ、と。
――私は帰宅した。
帰宅後は学校の予習と、詰将棋を少し解いて、寝た。
お笑い番組は見なかった。
今年はどんな一年生が入って来るのかな。
春の嵐のような女の子が来たりして。
漫画だったら松岡くんに一途なトラブルメーカー的な後輩が出来るのに。
――なんてね。
