好きでも嫌いでもなく、もうどうでもいい~自称聖女に寝取られたあなたになど、何の価値があるとでも?~

 親子仲はそれほど悪くはなかったものの、父は昔から口数が家でも少ない。

 兄たちのように私は父から怒鳴られたことはなかったけれど、表情の読み取れない父は苦手でしかなかった。

 今日だってエスコートはしてくれているけれど、実際何を思っているのだろう。

 不甲斐ない娘だと思っているのかな。

 思われたところで、父が彼と聖女をセットにしたのでしょう、と言ってしまえばいいだけなんだけど。

 感情論で話せば、理詰めで返されるのがオチよね。

 父が何も言い出さないからこそ、私からも何も言うことをやめた。

 正解ではなくても、これが最適解だと思っている。

「ガーラント公爵家様」

 そう名前を呼ばれ王宮の広間に入ると、その場にいた貴族たちの視線が一斉に降り注ぐ。