好きでも嫌いでもなく、もうどうでもいい~自称聖女に寝取られたあなたになど、何の価値があるとでも?~

 完璧な略奪系女子よね。
 あれ、そんな言葉どこで覚えたのかしら。

 急に思い浮かんだけれど、変ね。

「あなたは嫌じゃないの? ヤキモチ焼いてない?」
「いえ、別に」
「ふーん。じゃ、今度の夜会はダレンにエスコートしてもらうね」

 隣で堪えるように黙っていた王女の怒りが噴出しそうな雰囲気を察知した私は、隣にいた彼女の腕をそっと掴む。

 私のために怒ってくれているのは分かっている。
 だけどここで怒れば、余計に聖女の思うつぼだろう。

 夜会のエスコートは、本来その婚約者のつとめ。
 
 確かに婚約者のいないキララをエスコートする人間はいないのだから、誰かがその役目を果たさなければならない。

 もっとも、わざとダレンを指名しているのも分かっているけれど……。

 他の付き人たちを指名されるよりかは、ずっとマシだ。

「ご自由になさって下さい」

 そう言い切った私の顔をのぞき込み、聖女はただ鼻で一度笑った。

「王女様、今日はとぉーっても楽しかったです」

 どこまでも満足したかのように満面の笑みでそう言うと、嵐のように聖女は部屋を去って行く。

 その後王女殿下が烈火のごとく怒っていたが、私はため息をつくことしか出来なかった。