好きでも嫌いでもなく、もうどうでもいい~自称聖女に寝取られたあなたになど、何の価値があるとでも?~

「でも意外だったわ。あなたがあの聖女に物申すだなんて」
「他の令嬢たちに泣きつかれたので、仕方なくですよ」
「ふーん。仕方なくねぇ。あの聖女の一番のお気に入りはリーシアの婚約者でしょう? 腹が立たないの?」
「どうなんでしょう」

 そう言われてふと考える。

 確かに前までは彼の行動に腹を立てていた。

 いくら仕事とはいえ、距離感も近いし、聖女が来てからというもの、ダレンは私を見なくなっていたから。

 だけど仕事だと言い続けられるうちに「腹が立つ」という感情はどこかに置いてきてしまった気がする。

「どうなんでしょうって、あなた」
「他の令嬢たちが自分の婚約者を取り戻したいと泣いていた時に、彼女たちはちゃんとまだ好きなのだと気づいたんです。でも私は……」

 自分の胸に手を当てる。
 やはりあの痛みはもうどこにもない。

「あーあ。ホント、馬鹿ね」

 殿下の言葉の意味が分からず聞き返そうとした瞬間、部屋をノックする音が聞こえてくる。