玄関開けたら、異世界でした。

そんなナサリーさんの元にとことこ歩いてくる小さな影。

 二足歩行の小さなモグラさんを、私はついつい見つめてしまう。

 その子は私の視線に気づいたのか、ピュッと早い動きでナサリーさんの後ろに隠れてしまった。

 あぁ、怖がらせてしまったかな。

 ちょっぴり残念に思っていたら、ライナスさんが声をかけた。



「リーリア、久しぶりだな。また少し大きくなったか? 今日は、落ち人の奈々実を連れてきたんだ。奈々実は俺の番だよ」



 そんなライナスさんの声に、リーリアと呼ばれた先ほどのちいさなモグラさんはナサリーさんの足元からチラッと顔を出した。



 「こんにちは。リーリアなの。お姉ちゃん、落ち人なの?」



 足元から覗くように上を見上げているリーリアちゃん。

 もう、サイズ感からして可愛さしかない!!



「初めまして。奈々実です。そうだよ、私は自分の世界からここに落ちちゃったんだ」



 そんな私の返事に、リーリアちゃんは黒くて潤んだ瞳で見つめて言った。



「でも、ライナスお兄ちゃんの番だったんだね。 お兄ちゃんは大変だけれど、見捨てないでね?」



 うん? 見た目よりリーリアちゃんしっかりしている?



「リーリアは獣人としては子どもだけれど、奈々実よりは年上だよ。五十歳だし」





 えぇ!! こんなに可愛いのに五十歳?! 嘘でしょう?



 私が驚いた顔をしていると、ナサリーさんが教えてくれた。



 「このサールーンの獣人族は種族ごとに成人年齢が変わるのだけれど、大体三百歳以上の寿命の種族の成人は百歳なのよ。人族に近いネズミ族やウサギ族の成人は三十歳なんだけれど」





 えぇ? この世界だと私まだ、成人前になっちゃうじゃない!

 

「私の世界では、成人は二十歳で、私は二十歳なんだけれど……」



 そんな私の言葉に、逆に周囲が驚き顔になる。



「落ち人は不思議ねぇ。人族だからか、大人びているわね。リーリアは五十歳だけれど、まだまだ子供だわ」



 そんなナサリーさんの言葉に、リーリアちゃんは少し不機嫌そうに言った。



「種族の違いなのですから、そんな言い方はないです。おばあ様」



 この穏やか美人さんがおばあ様?!

 驚きばかりが投げかけられるので、情けないどうしようもない顔しか晒してない気がする私。

 もう、しょうがないよ。

 初めてのことばかりだもん、驚いてそれから知って学べばいいよね。





「私とケイリーはお互い五百歳超えてるわよ。 ライナスも二百歳ちょっとよね?」



 私を抱え続けたままのこのイケメンも、途方もない年上さんだったらしい。



「そういえば、そうだね。僕らって成人するとその後が長いから、あまり年を考えないんだよね」



 ご長寿な種族ってそんなものなんですかね。

 私、人間なんで分からないけれど……。