玄関開けたら、異世界でした。

ハーバイトさんに籠でライナスさんと一緒に運ばれて、たどり着いた島はイメージ的にはヨーロッパの島に近い、リゾート観光地的な雰囲気の島だった。



 カラフルで元気な印象の島の中で、小高い丘になっているところにひと際大きな存在感の建物が多分お城なんだろうと思う。



 ヨーロッパ風の街並みの先に見えているお城が白亜のアラビアン風なのがすごい。

 あの、特徴的な丸みのある塔が見えるので、私は不思議で仕方ない。

 でも、わりとそれが問題ないくらいにマッチしてるのがすごい。



「不思議な街並みだなぁ……」



 周囲を和やかに観察できているのはひとえにライナスさんの安定の抱っこ移動のおかげです。

 自分で歩いていないからね、周り見るくらいしかこの持て余した時間の活用法がないよね……。



 周りを見ている間に、しっかりとたどり着きました。

 アラビアンなお城に。



 お城の入り口らしきところには、私より幾分か幼い少年が待ち構えていました。



「あぁ、本当にライナスさんの番なんだね。 いらっしゃい。サールーン王国へようこそ」





 そんな少年を見てライナスさんは少し驚いた表情で声をかけた。



「こんなところまで一人で出てきて大丈夫なのか、フブキ」



 どうやらライナスさんは顔見知りみたい。

 後ろにいたハーバイトさんも、にこにことしつつ声をかけている。



「ここにフブキがいるなら、サクラもいるんだろう?」



 そんな問いかけに、フブキと呼ばれた少年の背後から、そっくりな顔で、長い髪の小柄な少女が顔を出した。



「なんですぐバレるのかな?」



 少女は愛らしい声で不満そうにつぶやいた。



「お前たちは生まれた時から一緒なんだ、それを見てきた俺からしたらお前らはいつもセットだな」





 そんなハーバイトさんの言葉に同意するようにライナスさんも頷いている。



「落ち人の奈々実さんですよね? 初めまして、サクラと申します。サールーンへようこそ。謁見の間まで案内しますね」





サクラと呼ばれた少女の言葉からフブキと呼ばれた少年と二人に連れられて、王宮の中に足を踏み入れた。





王宮の中も綺麗な作りになっていて、それでいて涼しい空間にどうなっているのか不思議に見ていると私の様子に気づいた少女の方が声をかけてくれる。



「なにか気になることがありました?」





「この空間、涼しいからどうしてなのかなって思って」



私の疑問に、少女はあぁ!っていう顔をすると教えてくれる。



「竜族ってサールーンの中では一番魔法に特化した種族で、しかも風とか水とかと相性がいいの。そういう魔法を応用して空間を快適にしてるのよ」





どうやら、竜族は魔法でエアコンみたいにしているらしい。

それが王宮全体だというのだから、魔法の規模も大きいのだなとなんとなく察した。





「うちのお母さんが暑さに弱くてね。この快適魔法はお母さんのためにお父さんが開発したようなものよ」



竜族は蛇族以上に番至上主義だときくので、納得のお話なのだが、まだまだ獣人のことに関して疎い私には、それでここまでするのスゴすぎじゃない?!となるのだった。