おれが、おまえを、可愛くしてやる。

 男って、恋愛抜きでヤれちゃうもんじゃなかったっけ?? ……わたしの常識がおかしいのか。考えながら、ぶぃーんと、風力が強すぎるドライヤーを持て余していると、

「おいおまえ」

 見れば、部屋の入口に、ミネラルウォーターのペットボトルを一本手に持った浅葱さんが驚いた顔をして立っていた。にしてもこのひと、美男子過ぎて、ただの部屋にいて仕事帰りのワイシャツとパンツ姿でペットボトル持ってるだけなのに、すごく、絵になるひとだ。映画のワンシーンみたい。

「ドライヤーのかけかたも分からんのか」とすたすたと近寄る浅葱さん。「頭皮。頭皮のほうから乾かすんだよ。毛先から乾かしてどうする。そんなんじゃ、頭皮の状態が悪くなる――っておまえ、ちょっと、触らせろ」

 言って浅葱さんは躊躇なくわたしの頭皮を掴む。容赦ねえ。

「おっま……」ぐにぐにと頭皮を揉む浅葱さんは、鏡越しにわたしと目を合わせ、「頭皮マッサージとかしてんの? スカルプブラシは?」

「いや、すいません。唐突過ぎてなんのことだかサッパリ」