おれが、おまえを、可愛くしてやる。

「シないんですか?」

「するわけねーだろばーか」

「いやいや」金曜日の夜。ぶっかぶかの彼シャツ。下は素足で彼の住むマンションに男女がふたりきり――状況は、整いすぎるくらいに整っているのだけれど。「馬鹿はないでしょう。馬鹿は」

「妙なことを言ってくるおまえのほうが悪い」と、やや、荒っぽい手つきで煙草を灰皿でもみ消す浅葱《あさぎ》さんは、灰皿をサイドテーブルの上に置くと、「職場の女抱くとかリスキー以外の何物でもねーだろ。普通に考えておまえ、ありえない。……とりあえずそっち座れ」

「……そっちって」

「向こうのドレッサーに決まってんだろ」……プライベートでも上司! って感じのひとなんだな、浅葱さん。「先ず、てめえのその濡れた髪をどーにかするのが先決だろ。ほれ」

 促され、椅子を引かれ、白い――ドレッサーの前に座らされる。てか浅葱さん。年中リアル山岡士郎みたいな恰好してるくせしてこだわりがあんだな。男の一人暮らしでででんとドレッサーが置かれていること自体が、珍しい。

 で。座らせたと思ったら浅葱さんはからからと引き出しを開き、「使え」と来たものだ。……って。