この家、全員まともじゃない。

あ、あれ〜?


ここ、どこですかっ……?


私がいる場所は……、庭。


てか庭大きくない……?


迷子……、になっちゃった……?


どうしよ……。


まだトイレは全然我慢できるけど、このまま一生迷うのは……ちょっと無理かも……。


……しかも、深夜だし……


風が寒い……。


お母さんっ……、助けてっ……


でも……、


────そっか。


お母さんは、今ここにいないんだ。


私を、お迎えにすら来ない、はず……


なんだろ、「はず」って……


まだ期待してるのかな……


いつまでも、信じたいって思うのは……


────だめ、かな?


もうなんか悲しくなってきちゃって、視界が滲む。


すると、明るい声が聞こえた。


「可愛い子みーっけ。」


目の前に黒い影が覆い被さる。


「きゃっ。」


恐怖で小さい悲鳴を上げてしまう。


「あははっ。声も可愛いね、君。」


な、なに……?


見上げると────


「やっほー。君の家族、青雲 蓮でーす。」


サラサラと靡く、夜空に合ったライトグレーのウルフカット。


きらりと幻想的に光るのは、アクアブルーの……、カラコンかな……?


というかっ、家族って何……?


いつ家族になったの……?


ん?待って、"青雲"って……


藍くんと、零夜さんの……苗字、だよね?


「じゃあ、ご兄弟さん……?」


「やっと気づいた?」


ドンッ


「え……」


壁に、手をつかれて……、壁と次男さんの……間に閉じ込められてしまった……


ど、どうにかして逃げないとっ……


「や、やめてくださいっ……」


「君、年上に人気そう。甘え上手でしょ。」


え……っ


そ、それは……、確かに……だけど、今言う言葉じゃないっ……


隙をついて逃げようとするけど────


「はいドーン。」


「なっ……」


足ドンと、床ドン……。


両方に挟まれて、逃げ場がない。


少女漫画で憧れてたのとは全くの別物。


怖いし……、キモい……。


辛辣かな……?


「ねぇ。今、どんな気持ち……?」


耳たぶを甘噛みされる。


チリッとした痛み。


思わず目を瞑る。


勇気を出して、口を開いた。


「き、キモいですっ……」


「……は?」


しばしの沈黙。


怒った……?


「ふーん……」


どす黒い、低音の声。


ひぇぇぇぇっ……!


「……じゃあ、もっとキモくしてあげる。」


彼の口の方向は、首筋へ……


く、首……?


や、やめてっ……!


「わ、私、生涯独身でいる目標なんですっ……!」


半分嘘で、半分本当。


結婚はしたくないって思ってるし……。


う、嘘はついてない……、はず。


「へー。おもろ。」


すっと体を離し、ある程度の距離を取ってくれた。


き、危険だけどっ、神っ……!


「俺の誘いを断るとか……乙女心どうなってんの。」


「えっ」


な、なんですかそれ……。


嫌味……?


唖然としている私を見て、ツボに入ったのか。


「あははっ。やっば、好きになるかも。」


サラッと爆弾発言。


だから髪の毛もサラサラしてるんだ。


このサラサラ男が……。


……と、思ってしまった。


でも、本音だから……、ごめんなさいっ


「……で?なんでこんな所にいんの。」


あ、そうそうっ……


それが本題……!


「と、トイレに行こうとしたんですけど……。次男さん、良ければ案内してもらえますか……?」


「だーかーら、次男じゃないってば。蓮ね蓮。覚えないと噛むから。」


えぇっ……。


なんですかそれ……


「わ、分かりました……。蓮、さん……。」


「敬語ダメ、さん付けナシ。せめてくん付けにして。」


「う、うん……。じゃあ蓮くん、教えてくれる……?」


「りょーかい。」


────


そして、無事トイレの場所まで案内してもらい、蓮くん( 次男くん )はどこかへ行った。


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