この家、全員まともじゃない。

Side:青雲 藍



────琴音がトイレへ行った後。


「……ちっ。誰なんだ、あいつは。」


仮面を剥ぎ取り、本性を見せた零夜。


ほんとよくバレないよな。


"俺"は家族にすら本性を見せていないけれど。


「ん〜、なんか迷子そうだったから拾った〜。」


「ああ……?もう毒薬飲ませて殺しとけ。」


毒薬って……


サイコパスすぎるだろ、と思いつつ、ふわっとした笑みを作る。


「え〜、無理だよ〜。あの子可愛いし〜。」


琴音は、見た目は可愛い。


でも、中身は知らない。


そりゃ会って数十分で分かるわけないしな。


でもなんとなくいい奴だってことは分かった。


しかも、初対面の男の家になんの警戒もなく行くとか……


無用心にも程があるだろ……


まあ俺が強制的に連れてったんだけど。


「……お前、あいつの事が好きなのか?」


零夜が怪訝そうに聞いてきた。


「……別に〜?」


「その間は何だ。」


「ご想像にお任せ〜」


「……もし好きになったら、分かってんだろうな?」


脅し……、か。


俺の家の家系は、複雑だった。


何個も大手の事業をやっていて、いずれ全員継ぐことになる。


しかも真面目なのか、恋愛禁止という事になっている。


俺は別にいいと思ってた。


どうせ恋愛なんかしないだろうし、と。


でも、違う。


多分、俺は琴音に惹かれている。


いつもは自分から距離を詰めないのに、琴音には近づきたくなった。


恋愛感情かは分からない。


自覚しているのかどうかも。


本人に聞くのは無理。


零夜に聞いたら即邪魔される。


澪は──、駄目だな。


どうせ彼女いないだろうし。


……じゃあ、"あいつ"しかいないか……