この家、全員まともじゃない。

次の日────────


私は、ベットで寝かされていた。


「え、ここどこ……」


昨日、何があったっけ……?


「確か……、お母さんと喧嘩して……」


全部思い出した瞬間、顔が熱くなった。


えっ……、な、なに……。


藍くんと、ファーストキス……、したよね……?


「起きた?」


うわっ……!


びっくりした……。


「俺の事覚えてる?」


あ、蓮くん……。


それよりも、藍くんは……?


きょろきょろと周りを見渡すけど、どこにもいない。


そんな私を察したのか、蓮くんはクスッと笑ってこう言った。


「藍ならもう学校行ったよ。……あ、そうそう。藍からの伝言なんだけど、『起きたらお腹空いてるだろうから朝食用意しといて。』だってさ。愛されてるねー」


「……いや、そんな……」


ちょっぴり、嬉しかったけど。ふふっ。


私が口元を緩めると、蓮くんは途端に真剣な顔になった。


「……うわ、寝起き顔破壊力やば。襲うよ?」


「えっ……」


いや、なにそれ……。


私の寝起き顔が破壊力ヤバい……?


いや、ないない……


「……えっと、冗談素敵だね。」


「本気だから。……あとね、真面目な話なんだけど。」


えっ……、なんだろ……。


「琴音ちゃん、今日から俺らの家族ね。」


「……?ドッキリなの……?」


「違う違う。ガチだから。」


待って、理解できない……。


藍くんと、蓮くんと、零夜さんが……





私の、家族……?





「えええっ!」


「あと、なんだっけ……。名前忘れた。あ、そうだ、もう一人、澪っていう三男がいるんだけど、知ってる?」


「澪……?す、すみません……。分かんない……」


心当たりがあるとすれば……、あのブラックブルーの髪の子かな……?


「えー、マジかー。じゃあ今呼んでくる。」


蓮くんは部屋から出て行った。


……未だに私は今の状況を理解していない。


そんな急に言われてもって感じ……、だけど、


藍くんの……家族、かぁ。


ふふっ……


思わず顔がニヤける。


「だめだめっ」


パチンと両頬を手で叩いて、しっかりと気を引き締める。





────覚悟は、できた。





「……痛くないのかな?」


突然後ろから聞こえてきた声。


「うわっ……」


驚いて飛び退いてしまう。


「あははっ。ごめんごめん。驚かせちゃったかな?」


ダークグレーのナチュラルショート、漆黒の黒い瞳。


爽やかで清潔感ある、零夜さんだった。


と、とりあえず、お返事しないとっ……


「い、いえ……」


「そっか。……昨日、藍の部屋で何をしていたのかな?」


探るような……、そんな目だった。


「えっ……」


「……こっちは、忙しいんだけどな。あんまりうちの藍を恋愛にしばかないでもらえるといいんだけど。」


「……っ。」


うちの、って……


なにそれ……。


「藍くんは、物じゃありませんっ……!」


「……ん?」


零夜さんの笑顔に、亀裂が走った。


「あっ、いやっ、えと……、違くて……、いや、違わないけど……っ」


慌てて否定しようとするけど……、ほんとに思った事だから否定できない。


「……邪魔するなら、君を消すしか選択肢はないんだ、琴音。」


いや、なに悪役みたいな事言っちゃてるの……?


「……というのは冗談で、もう俺は父親の言う事を聞くのは疲れたから、好きにしていいよ。ごめんね。」


にこっと新鮮に笑って、アハハ、と優雅に手を振りながら、部屋を出て行った。


「……え?」


それ、お父さんの言いつけだったの?


じゃあその恋愛禁止みたいな約束破って大丈夫?


度胸があるなぁ、と思いつつ、同時に底知れない人だな、と感じた。


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