この家、全員まともじゃない。

「んんっ……」


き、キスって……、なんか……。


「……っ、はぁっ。」


ようやく離してくれた……


私のファーストキス……。


「と、盗られた……」


「……何が?」


「な、なにも……」


「教えて。」


バッ。


上から覆い被さるように抱きしめられ、床に背中を打ち付けてしまった。


痛みは……、ない。


藍くんが後ろから手をまわして衝撃を抑えてくれた。


や、優しい……けどっ。


なんか、いつもと雰囲気違くない……?


可愛さ全開って感じだったのに……、めっちゃ二重人格っていうか……


私が驚いて固まっていると、藍くんは私からすっと目を逸らした。


「……引いた?」


聞いた事もないような、弱々しい声。


拒絶されるのを、恐れているような。


「……っ、ひ、引くわけないよっ!」


大声で、叫んでしまった。


藍くんは目を見開いているが、私の方を見ようともしなかった。


「私はっ……、そんな藍くんも……、」


素敵だと思った。


そう言いたいのに、声が詰まって言葉が出てこない。


なんで……?


でも、心からそう思ってしまった。


藍くんを、支えたいと。


どんな藍くんでも、好きでいたいって。


だから。


「……好きです、藍くん。」


「……えっ」


ようやく、私と目を合わせてくれた。


さっきの「ようやく」とはかけ離れた、意味。


もう、実感したんだ。


会って一日しか経ってないけど、


好きになっちゃった。


理由は、直感的に好きになったから。


周りにどんなに軽いって言われても、気にしない。


だってさ……、さっき、きっと嫉妬してくれたんでしょ?


ブラックブルーの髪の男の子に。


私を、渡したくないって……。


その時、どことなく思ったんだ。


好きだ、って。


「……もうマジで……。」


藍くんは、私の首筋に顔を埋めた。


不思議と不快感はなかった。


そして、私と藍くんは────


同時に、口を開いた。





「「ずっと隣に居てくれる?」」





私たちは、ハモった事も当然だというように、


視線を絡ませ合って、クスッと笑った。


~~~~ ~~~~