***
「綺麗……」
頭上に広がる
吸い込まれるような満天の星空。
颯に連れてこられたのは、
都内の静かなプラネタリウムだった。
貸切の広い空間で、
私たちはリクライニングシートに
深く身を沈める。
二人きりの夜空を見上げていると、
颯は穏やかな声で私に言った。
「……知ってるか?昔の航海士たちは、暗い夜の海で迷子になった船が星という『座標』を見て自分の場所を知れるように、星を頼りにして進む方向を決めたんだって」
それは、彼が持っていた星の知識——
彼が私を退屈させないために話してくれた、
優しい気遣いの一つだった。
「動かない星を見つめることで、自分が今どこにいるのかを確認する……。星は、世界で一番古い地図なんだよ」
「すごい、知らなかった!颯、なんでも知ってるんだね。……じゃあ、あの一番明るくて、青白く光ってる星は?」
私は数ある星の中で
一番大きく輝いていた星を指差した。
「冬のダイヤモンドの頂点、シリウス。地球から見える一番明るい星だよ」
「シリウス……ほんと、ダイヤモンドみたい。颯みたいに、眩しくて目立つ星だね」
そう言って私が笑うと、
颯はしばらく無言でその星を見つめる。
それから、ふっと自嘲するように静かに呟いた。
「……眩しすぎるものは、いつか目を焼くよ」
どこか遠くを見るその瞳は、
切実な思いを滲ませているようだった。
「え……?」
「それでもお前は、『お兄ちゃんと一緒にあの星に行きたい』って……昔、言ってくれたよね」
「そんな子供の頃のこと、覚えてたの?」
「お前が言ったことは、一文字だって忘れてない。……俺にとって、この暗い世界を照らしているのは、隣にいるお前だけだから」
颯の手が、暗いシートの中で
私の手をそっと握りしめる。
指先を絡める感覚に、胸の奥が熱くなる。
颯は、心から声を漏らすように、
純粋で少年のような笑みを浮かべていた。
私は、シリウスの
圧倒的な輝きに見惚れながら、
このまま彼の優しさに酔いしれていたい——
そう思っていた。
「綺麗……」
頭上に広がる
吸い込まれるような満天の星空。
颯に連れてこられたのは、
都内の静かなプラネタリウムだった。
貸切の広い空間で、
私たちはリクライニングシートに
深く身を沈める。
二人きりの夜空を見上げていると、
颯は穏やかな声で私に言った。
「……知ってるか?昔の航海士たちは、暗い夜の海で迷子になった船が星という『座標』を見て自分の場所を知れるように、星を頼りにして進む方向を決めたんだって」
それは、彼が持っていた星の知識——
彼が私を退屈させないために話してくれた、
優しい気遣いの一つだった。
「動かない星を見つめることで、自分が今どこにいるのかを確認する……。星は、世界で一番古い地図なんだよ」
「すごい、知らなかった!颯、なんでも知ってるんだね。……じゃあ、あの一番明るくて、青白く光ってる星は?」
私は数ある星の中で
一番大きく輝いていた星を指差した。
「冬のダイヤモンドの頂点、シリウス。地球から見える一番明るい星だよ」
「シリウス……ほんと、ダイヤモンドみたい。颯みたいに、眩しくて目立つ星だね」
そう言って私が笑うと、
颯はしばらく無言でその星を見つめる。
それから、ふっと自嘲するように静かに呟いた。
「……眩しすぎるものは、いつか目を焼くよ」
どこか遠くを見るその瞳は、
切実な思いを滲ませているようだった。
「え……?」
「それでもお前は、『お兄ちゃんと一緒にあの星に行きたい』って……昔、言ってくれたよね」
「そんな子供の頃のこと、覚えてたの?」
「お前が言ったことは、一文字だって忘れてない。……俺にとって、この暗い世界を照らしているのは、隣にいるお前だけだから」
颯の手が、暗いシートの中で
私の手をそっと握りしめる。
指先を絡める感覚に、胸の奥が熱くなる。
颯は、心から声を漏らすように、
純粋で少年のような笑みを浮かべていた。
私は、シリウスの
圧倒的な輝きに見惚れながら、
このまま彼の優しさに酔いしれていたい——
そう思っていた。

