——二ヶ月という時間は、
長いようであっという間だった。
夏休み、アスファルトから
ゆらゆらと陽炎が立ち、
外は溶けそうなほどの暑さの中、
私は201号室という涼しい檻の中で、
颯に「管理」される心地よさを
骨の髄まで叩き込まれていた。
「最近、お兄さん大人しくない?」
碧くんが隣で大きな看板にペンキを塗りながら言う。
夏休みが明けて一週間。
まだ残暑が残る大学の校舎の裏で、
私たちは一ヶ月後の文化祭に向けて
立て看板の制作をしていた。
「あ……うん。最近は『頑張れ』って送り出してくれるし、夜も遅くなるの、許してくれてるよ」
「なんか……逆に怖えな。あの夏祭りの時の顔、俺忘れられないんだけど」
碧くんが苦笑いしながら、
看板にムラなく青いペンキを広げていく。
作業に集中する彼の横顔は、
額に流れる汗さえも、
キラキラと輝く
雨上がりの向日葵のように爽やかだった。
私もその姿を見習うように
隣で色を重ねていく。
「……ふぅ」
一区切りついたところで、
私は汗で顔にまとわりついた髪を耳にかけた。
「これであとは、文字の部分だね」
「うん、ペンキの色は——」
言いかけたその時、
碧くんの顔を見て、言葉を止める。

