「……りんりんは、太陽みたいだな」
「え?」
「俺は月だから。……君が眩しくて、時々、どうすればいいか分からなくなるよ」
静まり返った会議室に、低く落ち着いた声が落ちた。
ロマンチックすぎるその言葉の響きに、私は一瞬息を呑み——一拍遅れて、吹き出した。
「っ……ぷ、あははっ!」
「……なんで笑う」
「だって! 太陽と月って……! 先輩、それ、どういう文脈から出てきたんですか」
「事実を言っただけだが」
「事実!? ……もー、先輩ってたまにそういうこと言いますよね! 会議を図書館みたいって言ったり」
「っ! ……聞いてたのか、あれ」
「はい、ばっちり聞こえてました! なんでそんなに真顔でポエマーみたいなこと言えるんですか、もう……」
笑いが止まらない私を前に、先輩は至って真剣な顔で「どこがおかしいのか分からない」と眉をひそめている。
その不器用な真面目さが、たまらなく——。
「……私、先輩がそういうこと言うたびに、なんか……すっごく、可愛いなって思っちゃうんですよね」
言ってから、血の気が引いた。
「可愛い」は、いくらなんでも言い過ぎた。
相手は、仕事に厳格な「先輩」なのだ。
先輩の動きが、ぴたりと止まった。
「あ、あの、ごめんなさい! なんか、変な言い方しちゃって——」
慌ててフォローしようとした私の言葉を遮るように、先輩が顔を背けた。
その耳の先が、信じられないくらい真っ赤に染まっている。
(……あ)
「……行くぞ」
先輩はそれだけ言うと、いつもより明らかに早い歩調で会議室のドアに向かっていった。
私は慌ててその後を追いながら、心臓が激しく脈打つのを感じていた。
「え?」
「俺は月だから。……君が眩しくて、時々、どうすればいいか分からなくなるよ」
静まり返った会議室に、低く落ち着いた声が落ちた。
ロマンチックすぎるその言葉の響きに、私は一瞬息を呑み——一拍遅れて、吹き出した。
「っ……ぷ、あははっ!」
「……なんで笑う」
「だって! 太陽と月って……! 先輩、それ、どういう文脈から出てきたんですか」
「事実を言っただけだが」
「事実!? ……もー、先輩ってたまにそういうこと言いますよね! 会議を図書館みたいって言ったり」
「っ! ……聞いてたのか、あれ」
「はい、ばっちり聞こえてました! なんでそんなに真顔でポエマーみたいなこと言えるんですか、もう……」
笑いが止まらない私を前に、先輩は至って真剣な顔で「どこがおかしいのか分からない」と眉をひそめている。
その不器用な真面目さが、たまらなく——。
「……私、先輩がそういうこと言うたびに、なんか……すっごく、可愛いなって思っちゃうんですよね」
言ってから、血の気が引いた。
「可愛い」は、いくらなんでも言い過ぎた。
相手は、仕事に厳格な「先輩」なのだ。
先輩の動きが、ぴたりと止まった。
「あ、あの、ごめんなさい! なんか、変な言い方しちゃって——」
慌ててフォローしようとした私の言葉を遮るように、先輩が顔を背けた。
その耳の先が、信じられないくらい真っ赤に染まっている。
(……あ)
「……行くぞ」
先輩はそれだけ言うと、いつもより明らかに早い歩調で会議室のドアに向かっていった。
私は慌ててその後を追いながら、心臓が激しく脈打つのを感じていた。
